元ネタのグーグル「検索結果」は下のスクリーンショット画像です。
神奈川県が設置運営している「ひきこもりの支援交流サイト」の「
ひきスタ」が「悪ふざけサイトではないか?」などと話題になりました。「アニメ調のページだと、ひきこもりが全員アニメオタクという偏見を助長しかねない」とか「ひきこもり中傷ネタも多数投稿されている某・動画サイトとの連携はどうかと思う」などなど。
トップページのメニューが「撮ってみた」「言ってみた」と、語尾が全部「ニコニコ動画風のタイトルの付け方」というのも話題になりました。
「とりあえず引きこもり支援サイトを作ってみた」というのが県の本音なのでしょうか。
話題となったアニメ風の画面は、「アニメ風」「まじめ風」のボタンで切り替えることも可能ですが、これだと
「アニメ風は真面目につくってないって意味?」「アニメは真面目じゃないって意味?」(日本のアニメ漫画は世界的に大人気なのに?)と突っ込まれそうですが、とりあえず官設官営の引きこもり支援交流サイト自体が、とにかく「作ってみた」という雰囲気がプンプン伝わってくるので、どうしようもないかも知れません。
漫画やイラスト自体は、多種多様なパンフレット類にも使われている表現手法ですので、「アニメ風」の反対を「まじめ風」と形容せざるを得ないような絵柄の選定と使い方でなければ揉めなかったと思いますが、今さら後の祭りですし、県側もわざわざ変える気は無い模様です。
教育評論家の「
尾木ママ」こと尾木直樹氏も書籍帯にコメントを書かれて推薦しているマンガ『電波オデッセイ』。その一場面に描かれたバス停を虫眼鏡で拡大すると「恩方」と読める文字が書かれています。作者でいらっしゃる漫画家・永野のりこ先生が、神奈川県に程近い東京都の多摩地区のご出身であると言われている事、別マンガで「子どもの頃、周囲の大人から空襲のときの話を散々聞かされたので身近に戦争を感じた(焼け野原を片付けていると、サツマイモが、いい感じで焼き芋になっていた・・・など、漫画『この世界の片隅に』(2016年にはアニメ映画化)にも通じる表現が先駆けて登場・・・)」からすると、八王子市の恩方地区を示しているものと思われます。実際、八王子市は、広島市と同様、大戦末期まで大規模な空襲を受けていなかったため、「戦争が終わる前にやっちまえ!」とばかりに、昭和20年8月に「人口比で見てもえげつない量の焼夷弾を落とされた激烈な空襲」を受けたそうです。
なお、永野のりこ先生によると、「東京出身の人でも言葉が田舎風になまっている事はある」のだそうで、永野先生の作品をよく見ると、たまにキャラクターの台詞がなまっている事があるので「東京郊外(多摩北部)の訛りは、東北~北関東の訛りにも似ている」と気付きます。
その「八王子にご縁が深そうな」永野のりこ先生がエッセイ的なマンガで「海水浴に行くときは、実家の近くの始発駅から初発電車に乗ると、『夜明け前の途中の厚木あたりまでは、どこか別の世界に連れて行かれるような高揚感に包まれた』」的な自伝漫画を書かれており、神奈川県内を走るJR相模線(茅ヶ崎―厚木―橋本)の一部電車が八王子まで乗り入れている事から、その電車はJR相模線(当時は国鉄・相模線)であると推測されます(なお、当時の相模線は「電気で走らない」「バスみたくディーゼルエンジンで走る列車」なので電車ではなく「気動車、ディーゼルカー」と正確には呼称するようです)
相模線の支線(寒川ー西寒川の1駅。1.5キロ)は1984年に廃止されました。東京通勤圏にありながら1日に4往復しか列車が走らず、当時の国鉄(のちに民営化してJRが発足)は赤字転落で財政事情が悪いのに、全国規模のお役所的な組織ゆえ小回りのきく施策も打てず、西寒川支線のテコ入れは行われず放置され続けたものと思われます。
なおコンクリートの材料として重用された川砂利の鉄道輸送は、昔は儲かったようで、例えば鬼怒川の砂利を輸送していた「常総筑波鉄道・鬼怒川線(茨城県にあった全長6キロの支線)」は、一時期は全長50キロの本線(現在の関東鉄道・常総線。なお高校野球が強い常総学院は沿線から遠い)と同等の稼ぎを記録し、昭和恐慌時の同社の経営を支えたといいます。その鬼怒川が2015年に大洪水を起こし(平成27年9月関東・東北豪雨)、同鉄道を数ヶ月の運休に追い込んだのは皮肉なものです。
もともと寒川ー西寒川の支線は、相模川で採取した川砂利を運ぶ為の路線であったものが、砂利を運ばなくなった後も、「相模線の支線」という事で「赤字路線としてリストラ候補に上がらず?」、そして「国民のための国鉄が路線を廃止するのはとんでもない」との世論も影響し?ダラダラと列車の運行は続いたものの、国鉄の大赤字が膨らんで解体・民営化(JR化)の目前に「全国で80路線以上を廃止する大リストラ」の大方針のもとでは生き残れなかったようです。
これを引きこもりなどの社会的弱者に当てはめると「人の生死に直接関わる福祉予算を大削減するのはもってのほか」という事で、生活保護などの福祉制度に守られている(あるいは年齢的・能力的に社会復帰が困難でソレを将来アテにせざるを得ない)引きこもりや社会的弱者(予備軍を含む)にも、相模線の西寒川支線のような結末が訪れないようを祈るばかりです。
いっぽうで現存する相模線の本線(JR相模線、茅ヶ崎ー橋本)自体もまた「砂利の採取・輸送のために敷設された路線」であり、砂利輸送が行われなくなった今日では「東京圏の通勤路線として電車化・本数増加のうえ存続している」「沿線が政令指定都市の相模原市になった」「将来、橋本には中央リニア新幹線の駅が出来る予定」などの時代の移り変わりを味方に付けている事を参考に、少子高齢化などで福祉予算の限界が予測されている以上、引きこもりなどの社会的弱者の側も、単なる救済待ちの姿勢のみではなく、何らかの積極策を講じた方が将来の可能性が広がると思います。
※後半2コマは「とりで漫画けんなん」さんの昭和バージョン?です。「けんなん」とは茨城県南部を略した「けんなん」(県南)のようで、別名は茨城都民とかチバラキ人とか(茨城県の人は千葉県を崇拝し、千葉県の人は「東北の一部と一緒にするな!」と怒っているとも…)。ちなみに東北の盛岡周辺では「岩手県北バス」が路線バスを運行しています。